【特派員レポート#2】第3回「スポーツ立国戦略」の策定に向けたヒアリング-①

「スポーツ立国戦略」の策定に向けた第3回ヒアリングが9日に文部科学省内で実施されました。今回は日本中学校体育連盟、全国高校体育連盟、全国体育系大学学長・学部長会、日本障害者スポーツ協会、日本スポーツ仲裁機構の5団体から各団体の現状や「スポーツ基本法」を策定する場合の要望点などについて聞き取りが行われました。

 

ヒアリングの様子と各団体が抱える問題点、筆者が感じた文科省の狙いを2回に分けて報告したいと思います。

 

部活動は大変~指導者の高齢化と止まらぬスポーツ離れ

まずトップバッターは中体連の三次陽夫専務理事。中体連が提示した資料によれば、全国の部活動の加入状況は平成21年度調査で男子が約139万人(加入率75・5%)、女子が約95万人(53・8%)で合計234万人(64・9%)というもの。少子化による生徒数の減少、教師の高齢化による顧問の不足などが問題点ということです。対策としては、複数校合同部活動や外部指導員(コーチ)の導入などを実施していることが挙げられていました。筆者の記憶でも、確か鹿児島県の鹿屋体育大学などでは地域の教育委員会と連携して、学生がその地域の部活動の指導アシスタントを行っていると聞いたことがあります。それを裏付けるわけではありませんが、中体連の資料によれば、外部指導員数は平成16年度が合計23616人(男17834、女5782)から、平成21年度は30994人(男20869、女10125)と1・3倍に増加。学校外の第3者や地域のスポーツ指導者を巻き込まないと部活動自体の存在も難しい、そんな実情が浮かび上がってきます。

 

ここでも文科省の鈴木寛副大臣らの質問は総合型クラブに集中しました。「地域の総合型クラブと部活動の連携は可能ですか?」「連携している具体的な事例は知っていますか」。文科省としては学校の部活動を地域に開放して、そこで衰退傾向になりつつある部活動をなんとか活性化しようという狙いがあるように感じました。中体連側からは、具体的な返答がなかったのが残念なことですが、これも今後の課題ということでしょうか。

 

2番バッターは高体連の梅村和伸専務理事。高体連も中体連と同様の危機感を持っていて、特に女子高校生のスポーツ離れがひどいようです。梅村専務理事は「(女子の)加入率は30パーセント程度ではないか。特に都市部ほど加入率が低い」と現状を語りました。

 

ここでも文科省からの質問は総合型クラブとの連携の有無や可能性について及び、梅村専務理事は「総合型クラブとの連携の実態は調査したことはないが、十分に可能だと思う」と前向きな姿勢でした。高体連の提出資料にも「地域住民にとって身近にある学校、特に小学校を地域のスポーツ拠点として重視し、地域の教育委員会と協力してその環境整備に努める」とあるので、総合型との提携に関する意気込みはあるようです。その意気込みを具体的な施策につなげるノウハウの確立や、お互いの縄張り意識を解きほどくことが求められていますね。ぜひ期待したいところです。 

  

また、この2つの団体に共通している悩みは指導者です。部活動の顧問のなり手がいないのは教師の高齢化と顧問の忙しさのためで、学校の先生は生徒を引率した場合は公務扱いになるようですが、大会運営などで自分が管轄する生徒が関与しない場合は勤務扱いにならないようです。ボランティアという善意で部活動も成り立っているのが実情です。両団体ともに「教師の部活動に対する公務の扱いを拡大してほしい」という要望がありましたが、学校教員を補助する仕組みを総合型クラブ(やクラブに従事・関与する指導員)が担えるのか、どうか。学校、クラブ双方の現場の声を聞いてみたいところです。

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第3回 「スポーツ立国戦略」の策定に向けたヒアリング

★日時・場所
 平成22年4月9日(金曜日)19時15分~20時45分
 文部科学省 東館5階 3会議室

★参加団体(5団体)

  • 財団法人日本中学校体育連盟
  • 財団法人全国高等学校体育連盟
  • 全国体育系大学学長・学部長会
  • 財団法人日本障害者スポーツ協会
  • 一般財団法人日本スポーツ仲裁機構