【特派員レポート#2】第3回「スポーツ立国戦略」の策定に向けたヒアリング-②

 

人材の宝庫となりうるか

 

3番手は全国体育系大学学長・学部長会の飯田稔会長(びわこ成蹊大スポーツ大学学長)でした。飯田会長からは全国の体育系大学教育の現状として、スポーツマネジメントやスポーツビジネスに関する大学が増えていることなどが報告されました。ここ10年で50近い大学にこうした学部・学科が新設されているとのことで、従来の体育大学だけでなく経済学部や経営学部に広がりを見せているのが特徴だそうです。ここでも鈴木副大臣からは「体育大学には総合型クラブのマネジメントをできる人材を送り込む、供給源として期待している」との意見が出され、布村スポーツ青少年局長からも「総合型クラブと大学との連携はあるか」といった質問が出ました。他では体育教員になる学生の修士課程終了を課す場合に、1年間は現場実践的なことはできるかなど、体育教員の養成についての意見交換が行われました。

  

日本障害者スポーツ協会からは障害者スポーツと健常者スポーツでは国庫補助金の額に開きが大きすぎることがデータ(21年度予算でJOCへの国庫補助金は約27億円、パラリンピック委員会へは3・1億円)をもって示され、障害者スポーツへの手厚い支援を訴えました。配布された資料の中には2008パラリンピアンズ協会調査として、北京、トリノパラリンピックに参加した選手の年間自己負担金が平均111万円にのぼる現状の指摘がありました。障害者アスリートにとって負担が大きいのは遠征費や合宿費といった強化に直結する部分のようです。文科省からは障害者スポーツ競技団体競技会に登録している50強の団体のうち、法人格を取得していない任意団体が多いことについても質問があり、障害者スポーツ団体の組織化は今後の課題に映りました。

 

最後の日本スポーツ仲裁機構(JSAA)では、道垣内正人代表理事からは「スポーツ基本法」を策定する場合の要望が出されました。JSAAは配付資料によると、2003年に個人の競技者や競技団体の紛争の仲裁、調停による解決を行うための中立的な機関として設置されたもので、2009年に一般財団法人化したとのことです。

 

道垣内代表理事はスポーツ基本法で①法の支配が行われる自律的な仕組みの確立、②検察官、裁判所のような自律的な機関を法律上明確にして、個人・組織が泣き寝入りしないようにすることなどを提言。また昨今、一般社会でも口を酸っぱくして言われる、ガバナンス(統治)とコンプライアンス(法令順守)をスポーツ界でも確立することを強く要望されていました。鈴木副大臣がスポーツ基本法という行政法の枠組みの中で、どこまでスポーツ団体に対して拘束力のある制度づくりができるかを課題に挙げていたように、一筋縄ではいかない問題に思えました。